養液土耕栽培システムを担当しています ” カシ ” です。
私は栽培から少し外れますが、養液土耕栽培システムについてお伝えしたいと思います。
今回はシステムを使用している際に起こりやすい電磁弁のトラブルについて書いていきます。
養液土耕栽培システムとは
まず、養液土耕栽培システムについて知っている方もいらっしゃると思いますが ” 養液土耕栽培システムとはなんぞや ” というところから簡単ではありますが説明いたします。
養液土耕栽培システムとは簡単に言えば養液土耕栽培を行う為の養水分を灌水制御するための機構になりまして、上記の画像にも書かれている液肥混入機や点滴チューブなどの機器、部材を使用し、作物の株元へ正確に、設定した養水分を施用するという様なシステムです。
古くはイスラエルなどの乾燥地帯で少ない水量で効率的に作物を育てるために開発された技術になります。現在では機器を使用する事での施肥灌水の自動化により、省力栽培や最適な肥培管理を行えるので作物へストレスの無い栽培ができるようになりました。それにより作物の生育にムラがなくなり、より安定した生産が可能となります。
詳しくは、養液土耕栽培特設サイトがありますのでご興味のある方はそちらもご覧ください。
電磁弁トラブル
さて、養液土耕システムを使用している際に困るトラブルとして、水が出なくなる、もしくは水の出が止まらないなどがあります。原因としては電磁弁で何らかの不良が発生している場合が多く、その電磁弁で発生した不良の確認の仕方と対処方法についてまとめてみました。
今回の対処は弊社でも取り扱いのあるCKD株式会社の自動散水用樹脂製電磁弁(型番:GSV)を基準に記しています。ほかの電磁弁でも構造は似ているので参考になるかと思います。
トラブル内容 水が出ない場合
原因①:電磁弁コイルの不動作
電磁弁コイルは動作の際に「カチッ」という鉄と鉄を打ち鳴らした様な音がします。灌水機器を操作して電磁弁を動作させ、コイル付近から音が出るかを確認してください。音が出なければ電磁弁コイルは動作をしていません。
コイルが動かなくなる原因として「電磁弁コイルの破損」「灌水機器からの信号線の断裂」「灌水機器から動作信号が出ていない」などの要因があり、確認方法は以下の様になります。
灌水機器から動作信号 : テスターを使い適正な電圧が出ているかを確認(適正電圧は電磁弁に記載)
信号線の断裂 : テスターを使い信号線(電線)の導通があるかを確認
電磁弁コイルの破損 : 機器の動作信号と信号線の導通がある状態で動かなければこちら
信号線の断裂は電線を交換すれば対処できます。ほかの二つに関しては個人での修理は難しいと思いますので、灌水機器を設置した業者か販売店にご相談下さい。
原因②:流量調整ハンドルの開け忘れ
流量調整ハンドルは蛇口と同じで右回しに回せば水量が減り最後まで閉め切れば水が出なくなります。弊社で発売している灌水制御機器(液肥混入機TTシリーズ)を使用する際には常に全開にしておく事を推奨しています。
そんなハンドルですが、何かの作業の際に閉めたままにし、灌水を開始してしまう事もあります。
あまり触らない場所ですので閉めた際は開け忘れの無いように心がけておきましょう。
原因③:内部のよごれ
電磁弁が汚れていた場合、水が止まらないトラブルの方が多いのですが水が出なくなる原因となる事もあります。
農作物への灌水は綺麗な水道水を使用すると水道代が多くかかるので河川や池、井戸の水を使用する場合が多くあります。水源の水質にもよりますが微生物や泥汚れ、藻などがフィルターを越えて流れ込み電磁弁内を汚します。汚れたままで長期間使用せずにいると電磁弁内の水が抜けて内部が乾き、汚れが糊の様に固まり、水を操作するための蓋(ダイヤフラム)が開かなくなってしまいます。
久しぶりに水を流そうとしても流れない時はこの状態かもしれません。水に濡れるとふやけて開く様になるので時間を置いたら正常に動いた、なんて事も良くあります。
乾くと掃除もやりにくくなるので長期に使用しない場合は内部を掃除しておく事をお勧めします。
電磁弁内部とダイヤフラム
トラブル内容 水が止まらない場合
原因①:手動操作ニードルが通水状態になっている
手動操作ニードルは左回しに0.5~1回転回すと通水状態となり水が止まらなくなります。作業の際に回したままにしていたり、体をぶつけるなどの何かの拍子に回転し通水状態になる事もあるので気を付けて下さい。
右回しに回すと止水状態になりますが強く締め付け過ぎないように注意して下さい。破損する場合があります。
原因②:内部の汚れ、ゴミ
水が出ない理由としても挙げておりますが内部の汚れやゴミなどにより水が止まらない、止まりづらいなどの症状も出ます。対処の方法も分解をしての内部の掃除になるのですが、その中でも掃除がしづらい電磁弁のフィルターについて説明します。
まずフィルターの場所は写真の赤丸部分になります。左回しに回転させると取り外せます。
取り外すとこの様になっており網の部分の洗浄もしますが、中心にある空洞内に見えづらいですが穴が空いており、その穴も掃除する必要があります。
穴を掃除するには細い物が必要なのですが、今回はホッチキス針の10号針を使用します。
ホッチキス針を1本取外し、上記の写真右側の様に片側だけ真っ直ぐに伸ばします。
真っ直ぐに伸ばした方を持ち、曲がっている側をフィルターの空洞内の穴へ入れます。
入れるとこの様な感じになります。
あとはホッチキスの針を穴に出し入れさせる事で掃除ができます。
掃除が終わりましたらフィルターを元の位置に付け直して下さい。
また、分解方法については下記URLから自動散水用樹脂電磁弁の商品情報ページに移動いただきますと取扱説明書がダウンロードできるようになっていますのでそちらを参照してください。
自動散水用樹脂製電磁弁 GSV|機器商品|CKD株式会社https://www.ckd.co.jp/kiki/jp/product/detail/480/GSV
以上が電磁弁のトラブルについてでした。
今後も養液土耕栽培システムについて書いていきますので、システムについて知りたい事やご意見がありましたらコメントをください。ブログの参考にさせていただきます。
CKD株式会社の自動散水用樹脂電磁弁(型番:GSV)
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