2024年11月13日
徳島トマト担当の、‟にし”です。
前回はトマトハウス➀について、定植の様子(徳島トマト 定植(2024.09.18更新))をお届けいたしました。
定植から約2カ月が経った、現在のトマトハウス➀の様子がこちらです。
樹もかなり大きくなり、ついに先日、収穫がスタートしました。
真っ赤なトマトがコンテナいっぱいに収穫できました。
実は、これらのトマトの果実肥大には、ある昆虫が活躍してくれました。
今回は、トマトハウス➀で授粉作業をしてくれている、小さな従業員をご紹介いたします。
弊社のトマトハウスでは、ほぼすべてのハウスにおいて、果実肥大促進のため、植物成長調整剤のトマトトーン(石原バイオサイエンス)噴霧を実施しています。
トマトハウス➀では、社内ハウスでは比較的トマトの栽培株数が多いこともあり、今作より、省力化を目的にクロマルハナバチ(アグリ・トップ®クロマルキューブ(株式会社アグリセクト))の導入を実施しました。
クロマルハナバチはもともと寒冷地に生息しているため、高温環境下では活動性が低下し、寿命が縮まってしまうリスクがあります。
そこで下図のように、直射日光が当たらないようにして巣箱を設置しました。
導入してすぐは、周囲の環境を探るように飛び回っていましたが、翌日には、授粉活動をするマルハナバチの姿を確認することができました。
マルハナバチは葯(おしべ)に咬みついて花粉を集めるため、このときの咬み痕(バイトマーク)がついているかが、マルハナバチの授粉がうまくいっているかの目印になります。
ほとんどすべての花にバイトマークがしっかりついており、順調に授粉活動をしてくれていましたが、1つ問題が起こりました。
過剰訪花です。同じ花に何度もマルハナバチが咬みついたことで、葯全体が褐色になってしまいました。こうなると落花や奇形花の原因になります。
実際にトマトハウス➀でも落花や、下図のような奇形果がいくつか確認されました。
ハチに対してハウス内の花数が少なすぎたことが原因と考えられます。
対策として、巣箱を開ける時間を制限する・エサ用の花粉を巣箱の上から与えることが有効です。
現在、過剰訪花はほとんどなくなりましたが、トマトハウス➀は10 a用のマルハナバチを導入するには作付面積が小さいハウスなので、マルハナバチと上手に付き合っていく必要がありそうです。
私が感じたハウスにマルハナバチを導入するメリット・デメリットは以下になります。
【メリット】
➀ 作業時間の短縮(1週間に1人で4時間ほどかかっていた作業が短縮できました)
➁ 果実肥大がほぼ均一に進む(トマトトーンより多頻度で授粉ができる・処理の漏れも少ないため、果実肥大の遅れが少ない)
【デメリット】
➀ 過剰訪花に注意が必要
➁ 使用できる農薬に制限が加わる(マルハナバチへの影響日数を考慮して、農薬を選定します)
当初の目的通り、マルハナバチの導入により、これまで時間を取られていたトマトトーン処理の時間を短縮できました。
マルハナバチは『飛ぶぬいぐるみ』と呼ばれるように、モフモフとした小さな体で授粉をする姿は、可愛らしく、また頼もしくも感じます。
マルハナバチにも協力してもらいながら、今後もトマト栽培を継続いたします。
つづく、、、
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