徳島トマト担当の、‟にし”です。
前回はトマトハウス➀について、排液・土壌溶液の採取方法について(徳島トマト 排液・土壌溶液採取方法(2024.12.18更新))をお届けいたしました。
現在のトマトハウス➀の様子がこちらです。
トマトハウス➀では、北側半面(写真左)で昨年の8月から栽培を継続しており、南側半面(写真右)では1月上旬で1作目を終了し、2作目の定植を実施しました。
定植から約1カ月経過した苗は、現在順調に生長しています。
しかし先日、これらの苗を観察していたところ、ハウス内で場所による生育のばらつきが確認されました。
今回はこの生育のばらつき解消のため、トマトハウス➀で取り組んでいた内容をご紹介したいと思います。
ハウスの手前から奥に進むにつれて、トマトの植物体が小さくなっていく傾向にありました。
この要因として、トマトハウス➀では、ハウスの手前側に送風式の暖房機を設置し、ダクトを用いて奥側まで暖気を送るようにしていましたが、手前と奥で排出される暖気の量・温度に偏りがあることが予想されました。
試しに、ハウスの手前・奥2カ所に温度計を設置し、最低夜温を測定したところ、手前側の最低夜温が13℃ほどあったのに対し、奥側では11℃ほどまで夜温が下がっていました。
このままでは、場所による生育のばらつきはより拡大し、収量にも影響することが予想されます。
このため、ハウス内での最低温度を可能な限り均一にするために、以下の2つの対策を実施しました。
写真のように、最低夜温の高い手前側にて、ダクトの排出口をガムテープで塞いで暖気の排出を制限することで、最低気温の低い奥側に暖気を送り込むようにしました。
しかし、この方法では、奥側まで十分に暖気を送り込むことができなかったのか、温度ムラを改善することはできませんでした。
次に、暖気を奥側に強制的に送ってあげるため、夜間にサーキュレーターを稼働してみました。
翌朝、ハウスの最低気温を確認すると、手前側も奥側も14℃と、ほぼ同等の最低温度となっていました。
(この時は奥側の温度を少しでも上げるため、暖房機の設定温度を15℃に設定をしていました。)
温度ムラの要因としては、暖房によるものだけでなく、太陽熱蓄積のムラやハウス隙間からの冷気侵入・ハウスの放熱のムラなど多岐にわたります。
また、今回は暖房による温度ムラが、生育に顕著な影響を及ぼす形となりましたが、普段の栽培では温度ムラを意識しにくい場合も多いかと思います。
栽培試験では、場所による環境の違いを最小限にしたいのはもちろんですが、無駄な加温によるエネルギー浪費を抑えるためにも、温度ムラを可能な限り小さくするハウス管理を心がけます。
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