徳島いちご 育苗期間の病害虫

2025.09.17

2025年9月12日

こんにちは。徳島いちご担当の ” ざわ ” です。現在のイチゴ育苗の様子がこちらです。

9月頭から窒素中断を開始してから約2週間が経過しました。葉色が薄くなり、黄緑色になっています。8月中旬の様子と比較すると、その差は一目瞭然ですね。

育苗期間の病害虫について

9月に入り、育苗の終わりが近づいてきた今日この頃。今回のブログでは育苗期間中に弊社で確認された病害虫を写真とともに紹介します。

1.害虫編

イチゴの葉を食す代表的なチョウ目の一つです。葉裏に卵塊の形で産み付けられ、卵数は1塊あたり20卵程度だそうです。幼虫は葉裏から食害し、表皮だけを残すので、食害部分が透けて見えるのが特徴です。現状、この虫に対しては登録農薬が無いので、手で取るしかありません。

弊社は外で育苗しているため、普段ハウスの中ではあまり見ないような虫もやってきました。チョウ目の食害とは思えないほど大きくかじられた跡があり、よく見ると株もとにドウガネブイブイがいました。捕獲できませんでしたが、幸いにもこれ以上の被害は出ませんでした。

葉の表を見ると何もついていないですが、裏側を見ると、ハダニやアブラムシがいました。最低でも週1回以上は苗の見回りをして虫の発生の有無を確認しましょう。早期発見と迅速な薬剤散布により害虫の発生を抑制できます。弊社の製品であれば、ハダニにはサフオイル乳剤を、アブラムシにはオレート液剤を散布することで、被害の拡大を十分に抑えることができます。

葉柄が茶褐色になる、葉は縮れていないが葉脈に沿って茶褐色になる場合は、チャノキイロアザミウマによる吸汁跡である可能性が高いです。アザミウマが目視できなくても周辺に存在していると思いますので、アザミウマ類に登録のある農薬を散布をしましょう。

ただし、葉柄や葉が茶褐色になり新葉が萎縮や奇形になっている場合は、アザミウマではなく、ホコリダニ類による被害の可能性が高いです。ホコリダニは体長約 0.2 mmと微小なため、寄生を目視で確認することが困難です。このような苗を見つけ次第、ハダニ類に登録のある農薬を散布しましょう。もちろんサフオイル乳剤も効果的です。

2.病気編

台風後などに、地域や品種に限定されず広範に発病が確認されることから、病原細菌は普遍的に生存しているものと考えられています。発病を確認したらまずは、病斑がある小葉をハサミ等で除去しましょう。発病部位を取り除かずに農薬散布をすると、かえって病気が広がる恐れがあります。発病部位の除去後には速やかに農薬散布を行い被害の拡大を防ぎましょう。

イチゴ炭疽病の病原菌は2種類あります。Colletorichum acutatum(コレトトリカム アキテータム)による炭疽病は、生育適温が25℃前後で、新葉の縁に黒色の不整形の大型病斑を生じ、縮れて破れやすくなります。こちらはクラウンの内部まで侵入する力が弱く、株が萎凋(いちょう)・枯死することはほとんどありません。被害の拡大を最小限に抑えるために、該当する苗を除去して炭疽病に登録のある殺菌剤を散布しました。今のところ、2~3株程度の発生で済んでいます。

Glomerella cingulata(グロメレラ シングラータ)による炭疽病は、生育適温が28℃前後で、高温多湿が続く7~8月に発生が多いです。高温下で急速に萎れ、萎凋株ではクラウン外部から内部に向かって褐変・腐敗が進みます。写真では、葉柄に赤黒い病斑ができて急速に萎れています。発症が認められた株は、速やかに地下部ごと取り除き、サイレージ発酵処理で無毒化してから捨てることで空気感染を防ぎます。発症株とランナーで繋がっている苗は、菌が潜伏している可能性が高いので、病斑が認められなくても一緒に廃棄しましょう。

終わりに

弊社の育苗では、斑点細菌病が最も多く発症しています。8月のお盆明けに大発生した際は、発病した葉をハサミで切り取った後に殺菌剤を散布しました。それからしばらくは発症が落ち着いていましたが、つい最近、9月16日に再度大発生してしまいました。この病気は、炭疽病(グロメレラ シングラータ)と異なり、萎凋や枯死の可能性が低いため、前述のとおり、病斑葉の除去と農薬散布で対処できます。

育苗期間中は、炭疽病と疫病に登録のある農薬をスケジュール散布しており、怪しいと思った苗はすぐに廃棄していることもあり、今のところ炭疽病と疫病の発生は最小限に抑えています。

大抵、連休明けに何か問題が起こるので、定植が終わるまで気が休まらないですよね。

皆さんの育苗事情はいかがでしょうか。(差し支えなければコメント欄で教えてください。)

次は定植の時期に、花芽分化の様子をお届けします。

つづく、、、。

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