
2026年3月6日
徳島トマト担当の”にし”です。
前回は「トマトの灰色かび病」について(徳島トマト 灰色かび病の発生と対策(2026.2.6更新))お話ししました。
今回はトマトから少し視野を広げて、植物の健康診断ともいえる「培養液分析」についてです。
前回の栽培ブログで、いちご担当の”ざわ”がサンプル(給液・排液)の採取方法を紹介しましたが、今回はその続き。採取したサンプルを「どのように分析しているのか」をご紹介します!
*サンプルの採取方法はこちらから*
・ 給液・排液 → 徳島いちご 栽培管理 様々な溶液(2026.2.9更新)
・ 排液・土壌溶液 → 徳島トマト 排液・土壌溶液採取方法(2025.12.25更新)
正確な分析は、正しい保管から。採取したサンプルは、できるだけ新鮮なうちに分析するのが理想ですが、すぐに分析できない場合は以下の点を守って保管しましょう。
・ 容器: 光を通さない「遮光ボトル」を使用します。可能であれば、内蓋付きで密閉できるものがベストです。

・ 保管場所: すぐに分析できない場合は「冷凍庫」で保管します。分析する際は、常温で完全に解凍してから使いましょう。

【なぜ?】 実は、培養液に含まれる鉄などの微量要素は、光に当たると性質が変わり、沈殿してしまうことがあります。また、時間経過によっても成分は変化します。沈殿したり変化したりすると、液中の正確な栄養バランスが分からなくなってしまうため、「光を遮断」し「冷凍で状態をキープ」することが、とても重要なのです。
培養液中の不純物を取り除くために、フィルターろ過を実施します。こうすることで、分析機器の流路での詰まりなどによる、機器の故障・分析精度の低下を防ぐことができます。

ここからは、OATアグリオの栽培研究センターで活躍する分析機器たちをご紹介します。分析したい成分の特性に合わせて、これらの機器を使い分けています。
東ソー製 IC-8100 & IC-2100


この2台は、培養液に溶けている栄養素を「イオン」という形で、非常に高い精度で測定します。
植物の栄養素は、水に溶けると電気を帯びた小さな粒(イオン)になります。イオンには、プラスの電気を帯びた「カチオン(陽イオン)」と、マイナスの電気を帯びた「アニオン(陰イオン)」があり、植物はこの両方をバランス良く吸収して成長します。
この2台は、それぞれ担当が分かれています。
・ IC-2100(カチオン担当):カリウムイオン、アンモニウムイオンなど、プラスのイオンを測定
・ IC-8100(アニオン担当):硝酸イオンやリン酸イオンなど、マイナスのイオンを測定
ICは、時間をかけてじっくり分析することで、培養液に含まれる栄養素の種類と量を正確に割り出します。
日立製 PS7800

こちらは、培養液に「どんな元素が」「どれくらい含まれているか」を、一度に、比較的素早く分析できる装置です。
先ほどのICが「イオン」という形(性質)で栄養素を見るのに対し、このICPは、より根本的な「元素」そのものを見ています。分析時間が比較的短く、カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)など、複数の元素をまとめてチェックしやすいです。
分析方法はとてもユニークで、培養液を数千℃の超高温の炎(プラズマ)に吹き付け、その時に元素ごとに出る特有の光を読み取ります。
では、この2種類の分析機器をどのように使い分けているのでしょうか?それぞれの得意・不得意をまとめました。

このように、それぞれの長所を活かし、知りたい情報に応じて機器を使い分けることで、より多角的で深い分析を実現しています。
培養液分析は、一見すると地味な作業かもしれません。しかし、これは見た目だけではわからない植物の「声」を聴き、肥料の過不足や生育状態を把握するための大切なプロセスです。
この地道な分析の積み重ねが、より良い栽培方法の確立、そして皆さまにお届けする美味しい野菜づくりへと繋がっていきます。
つづく、、、
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